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PARIS


H.P.DECOのK村です。


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「ブログを書いてもらえませんか?パリについて。」

  

先日思いもよらずブログの執筆を頼まれた。

普段一切書く事もないブログというジャンル。それもパリを主題とした。

慣れない文体と壮大なテーマを思うと引き受けることに躊躇を覚えたけれど、

何かふと背中を押されたような気がして、どうしてか引き受けてしまった。

 

そういう訳で、今こうしてパソコンに向かって執筆を始めたわけだけれど、

普段からブログを書かない僕のパソコンは、

「ぶろぐ」と打ち込んでも「部ログ」と変換する始末。

いやはや大変なことを引き受けてしまった。


 

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さて、パリである。

これはとても個人的な意見だとは承知だけれど、

パリの魅力は街の片隅にあるように思う。


大通りを曲がった先にある小道。ギシギシと音を立てて登った階段の先。

重厚な樫の扉を開けた先。その先々で出会う街の片隅の景色は

とっても「いま」だったり、驚くほどに「むかし」だったりする。

勿論、世界中のどの街の片隅にも「いま」と「むかし」は共存している訳だけれど、

パリは特に「いま」と「むかし」が幾重にも折り重なって

重層的に一つの街を形成している稀有な街のひとつだと僕は思っている。


街行く人々もそうだ。通りに面したカフェのテラスには、

珈琲片手に1人読書に浸る若者。その横では、老人達が楽しそうにお喋りに興じている。

街を行きかう人々が、「いま」と「むかし」を繋ぎ、草木に水を与えるように、

街の片隅に潤いを与え、保持している。


仕事柄、何度もパリを訪れてきたから、今ではお気に入りの街の片隅が結構できた。

それはお店やレストラン、作家とそのアトリエだったり、それにお気に入りの石畳の路地や、

窓辺にガーデニングされたゼラニウムが素敵な建物だったりするのだけれど、

そんな片隅を線で結ぶととても歪な線になる。


パリを訪れるたびに私的な片隅は増えて、線はより歪になっていったけれど、

それは僕にとってのパリが出来上がっていく証拠でもあってとても嬉しく思ったものだ。

ルーブルも凱旋門も良いけれど、もしパリを訪れることがあれば

是非自分だけの片隅を見つけてほしいなあと思う。



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                           ©Sophie Delaporte

 


アスティエ・ド・ヴィラットのデザイナー2人が著したパリのシティガイド、

MA VIE A PARIS(私のパリ生活)は、街の片隅を探索する際に実際すごく役にたった。


それはこの書籍に掲載されたアドレスが全て、デザイナー2人が日常的に訪れ、

利用しているパリの住所を掲載しているからで、

旅行ガイドでは絶対に見つけられないアドレスが網羅されている。

本屋さん、金物屋さん、絵画のフレーム屋さん、それに鳥の病院まで。


ここまでの街の片隅の網羅は勿論パリに暮らす人にしか出来ないだろうし、

タウンページの様な住所録は確かに全ての住所を掲載しているけれど、

どこがいいとか悪いとか、そういうことはわからないから。



NYのデコパージュ・デザイナーJohn Derian(ジョン・デリアン)

展示会でパリを訪れた際、滞在先のアパルトマンの部屋の鍵が壊れて、

MA VIE A PARISに載っている鍵屋さんに連絡したら、

直ぐに駆けつけてくれて修理してくれたって言っていた。

パリで直ぐに駆けつけてくれる鍵屋さんなんて、なかなか見つけられないものだけれど。

 

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◼︎MA VIE A PARIS(フランス語版、日本語版とも8,000+税)



全頁活字組版で印刷されたMA VIE A PARISは、

タイトルの赤字以外、全て黒の一色刷仕上げ。

押し入られた沢山の写真も例外ではなく、黒一色で印刷されている。


新しい書籍なのにどこか懐かしく思えてくるあたり、

とってもアスティエ・ド・ヴィラットらしい仕上げだと思うし、

ひいてはパリのある側面を誠実に表現しているともいえる。

不便だけど小粋。頑固だけど情実。それに「いま」と「むかし」。

 

デザイナーのイヴァン・ペリコリとブノワ・アスティエ・ド・ヴィラットは

前書きを次のように綴って、この書籍の序文としている。



パリは、住む人の数だけある。

それぞれに、通いなれた路や馴染みの店もあれば、新しい発見や出会いがある。

世の流れと人の関わりが移ろう中で、誰しもが自分だけのパリを生きている。

(まえがき抜粋)

 

 

ああ。こんなこと書いていたら、パリにまた行きたくなってきた。

そろそろ4月。春から初夏にかけてのパリ、いやフランスは最高だから。


強まった日差しがオスマニアンの街並みを照らし、街路樹は草木を繁らせて、

街のあちらこちらで花々が咲きひらく。

春の乾いた風が、日に照らされた古い石と草花の香りを街中に届け、

冬の間は感じられなかった街の色彩や匂いが、淡くも華やいだ輪郭を持ち始める。

 


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パリをベースに活躍するイラストレーターで映像作家

Marin Montagu(マハン・モンタニュ)

彼の作品は、そんなパリらしい色彩を軽やかに表現しているように思う。


ジャック・ドゥミの映画みたいに、色が心地よいリズムを刻んでいる。

ただ、彼のパリらしさは、どこかパリを離れたときに感じるパリへの憧憬と

その彩りに類似しているように感じる。

パリへの憧憬を試験管に注いで蒸留し、精製したアブソリュートを希釈してできた

オー・デ・コロンのようだと、個人的には思っているのだけれど。


香りを添えるなら何だろうか?

クラシックな安息香をベースノートに、アイリスのフローラルノートと

ラベンダーやバジルでフレッシュさ、それにプチグレインで柑橘の爽やかさを足したような。


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◼︎Marin Montagut × Antoinette Poisson "Le Jardin des Tuieries" (4,000円+税)
 

 

パリに暮らし、パリを題材に作品を作ることが多いMarin Montagutだけれど、

実際に暮らしながらもパリへの憧憬に似た感情を汲み取り、

作品として表現できるところに彼の非凡な才覚を感じる。

 

そういえば以前パリに住む知り合いが、彼らしいパリの楽しみ方を教えてくれた。

「パリの街の一番良い時間はね、夜明け前だよ。まだ街の大部分が眠っていて、渋滞もクラクションもない。

タクシーをつかまえて、自由に街を回遊してもらいながら、

窓を開けて、目覚めていく街を眺めるのが最高なんだ。

気が向いたらタクシーから降りて、まだ寝ぼけた街を散策してもいいしね。」

これは未だ試したことがないから、次にパリを訪れた際は騙されたつもりでやってみようかな。


  

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パリについて書いていたら、昔読んだヘミングウェイの随筆の書き出しが

ぼんやりと浮かんだから、気になって本棚の後の方から引っ張り出して、

頁を開いてみた。

 

 

もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、

その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる。

パリは移動祝祭日だから


ある友へ

アーネスト・ヘミングウェイ

1950

 

 

なるほど、このブログを引き受けた時に僕の背中を押したのは、僕のパリだったんだな。

異邦人にとっても、やっぱり自分だけのパリは存在している。

それは、パリの片隅が僕の中に根付いて、僕自身の片隅になっているからだろう。


H.P.DECOには、そんなパリの片隅で出会った作家たちの作品がたくさん置いてあります。

パリだけではなく、世界中の片隅で出会った作品もしかり。

是非ご来店いただき、実際に手にとって、自分だけのお気に入りの何かを

見つけていただければと思っています。



K村

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フランスを中心としたヨーロッパの新しいクリエーションと、デザインや年代にとらわれずセレクトしたユーズド家具を扱うショップ。海外での買付やクリエイターの魅力、家具にまつわるトピックスやスタッフのひとりごとなど、H.P.DECOの舞台裏をご紹介します。

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